幼いころ、天ぷらを揚げる母の横で「なまこぱんも食べたい」と、毎回ねだって困らせたり、なまこぱんが天ぷらの中にあった時は、兄弟で取り合いをしたこともあった。
子どもを虜にさせるなまこぱんの天ぷら。しっとりとして甘い味は、大人になっても私の心をつかんで離さないー。
「なまこぱん」とは、しょうゆぱんの生地を砂糖でコーティングしてある宮古の駄菓子のこと。名前の由来は見た目がなまこに似ているから…ということらしい。名前に「パン」とあるけれど、パンの仲間ではないことは最近知った。
春は山菜を天ぷらで楽しむことが多い。タラノメにコシアブラ、ハリギリにウド…。メインはもちろん山菜なのだけれど、山菜を揚げた後、今回ももちろんナマコパンを揚げる。水で溶いておいた天ぷら粉に、ナマコパンをくぐし油で揚げていく。なまこぱんはすぐに揚がるため、片面十五秒ずつでいい。あまり揚げすぎると硬くなってしまうので注意。
なまこぱんは生姜味とハッカ味がある。私はいつもハッカ味。長年慣れ親しんだ味がいい。もちろん、そのままでも食べることはできるけど、私は天ぷらにしたほうが好き。
私の母曰く、昔の冠婚葬祭には必ず天ぷらの中にあったそう。宮古より北にある野田村では、「かあさんケット」を天ぷらにする。ほんのり甘い天ぷらは三陸の食文化のひとつ。ちなみに、南リアス伊達藩エリアで育った夫は、結婚してから始めて食べたらしい。評判はまあまあ。
おためしあれ。
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